サービス詳細（エアコンクリーニング）

国内におけるエアコンクリーニングの歴史

日本におけるエアコンクリーニングサービスの歴史は浅く、家庭用エアコンの普及が進んだ1990年代前半から事業として認知はされていましたが、あくまで家事代行の延長であったハウスクリーニングのオプション作業のような位置づけである場合が多く、吹き出し口手前のカビやフィルターの取り外し洗浄などのいわゆる簡易洗浄 （※１） である場合が多かったようです。
某大手クリーニング会社が分解洗浄（※２）サービスに着手し始めたのもこの頃で、その意義も含めて知る人ぞ知る比較的ニッチなサービスだったようです。

2000年代前半になると、某大手電機メーカーがエアコンの製造販売だけでなく、維持メンテナンスサービスでも収益源を確保するためエアコンクリーニング事業に参入しました。
そこで直営店だけでなく、協力会社やフリーランスの清掃業者に分解洗浄の研修を施し全国対応したのが、現在多くのクリーニング業者が氾濫する一大産業に成長した当該サービスの起源といわれています。

（※１）外装部やフィルターの洗浄を行い、室内機の内部洗浄を行わない方法。
（※２）外装部、内装部品の分解洗浄とともに室内機内部を高圧洗浄する方法。

エアコンクリーニングってそもそも何？

エアコンクリーニングとは、エアコンに付着した埃やカビ、菌類などのハウスダストを除去する作業のことをいいます。
これらを除去するにあたり、表面カバー外側や上部吸い込み口の埃取り、フィルターの洗浄及び交換、目に見えるカビや沈着の拭き取りなどは、家庭内のお掃除（簡易洗浄）の範囲で行うことが可能ですが、皆さまが感じるニオイの元、健康上の不安の元としては２割ほどの面積しかカバーできていないというのが実情です。

そもそもエアコンクリーニングって何？の答えは、個人ではなかなかできない残り８割のハウスダスト除去のことです。

視覚の不快感

多くの人にとって、日常生活でカビを視界に入れることは元々不快でしかなかったはずです。
それなのにエアコンからのぞくカビだけはある程度許容できてしまう方が一定数いらっしゃいますが、なぜでしょうか？エアコンだけはそういうものだと思い込んでいませんか？

キッチンやテーブル上に見えた途端急いで拭き取るのに、それが皆さまの呼吸器に直接風を送りつけてくる機械に付着していてもそれほど気にならないとすれば、それは生存本能が麻痺しているといえます。
人間の視覚的不快感は、健康上の防衛本能が働いているのです。

嗅覚の不快感

埃やカビのニオイを感じることも皆さまの健康上のリスクを脅かす重要なシグナルです。
買ったばかりのエアコンからは間違いなく感じられなかった不快なニオイが出始めたとすれば、それは健康上良くない何かが皆さまの嗅覚を刺激しているからだと考えられます。

しかしながら、嗅覚の素直な反応を脳で騙し、呼吸器に入れ続ける健康上のリスクについては実証的なエビデンスがありません。
エアコンが一室一台の普及率を果たしてから、まだ30年も経過していないからです。
喫煙習慣による肺ガン率や死亡率の明確なエビデンスが得られたのも、実は近年になってからのことなのです。

エサを目指して集まる習性

彼らにとってのエサは、主に水分を含んだ有機物だとされています。
水分を含んだ有機物と混同してはいけないのは、水分を“帯びた”有機物です。
皆さまが口にできる状態のラーメン、カレー、みそ汁や漬物などの食品はあくまで水分を“帯びた”有機物であり、含んではいないのです。
では水分を“含んだ”有機物とは何でしょうか？それは水分が浸透し空気に触れ発酵が始まった栄養、すなわち「腐ったもの」です。
生ゴミ入れ、シンクの三角コーナー、つけ置きしたお皿などはすぐイメージしやすいと思いますが、盲点になりがちなのはお風呂場の水垢、濡れたままの洗面所など、腐った食品とはやや距離のある環境です。
これらもすべて、髪の毛や垢などの有機物が水分を含み、空気に触れ腐ることが可能な場所です。
彼らがエサ場と認識して集まりがちな場所として、押さえておきたいポイントです。

中高温で多湿な場所を好む習性

皆さまにとって適度に明るく、適温適湿で清潔なパーソナルスペースに侵入してくるコバエというのは、実は生存本能に反した行動を起こしている希少な個体です。
そういった個体を目にするようになった時には、すでに適切な場所に身を潜めて種を繁栄させている優秀な個体群が、ご家庭内のどこかにいると考えられます。
彼らがどういった場所を好み産卵し、今まさに爆発的に繁殖し皆さまにうっとおしさを提供しようとしているのか。
それは上に述べたエサがある場所を形成する前提にもなりますが、「中高温で湿った場所」というのがそれにあたる環境です。
有機物を迅速かつ的確に腐らせる環境にもなりますので、ご家庭内でそういった条件を揃えてしまいそうな場所をまずはリストアップしましょう。

水まわりを清潔に

キッチン、洗面所、お風呂場、トイレ、洗濯機まわりなどが、ご家庭の中での主な水まわりになります。
それらはただ真水を流しているだけの場所ではなく、必ず何かを洗うために使用しているはずです。
洗い残しがないこと、洗ったものが乾燥することはもちろん、洗い流したはずの有機物が洗った場所に滞留しないことも重要です。
常にそれらを徹底することは難しくても、せめて一日の最後にはリセットしましょう。

生ゴミや食べ残しを放置しない

はっきり言って誘引剤です。ご法度中のご法度です。
食べ残したお皿、洗い残したお皿、三角コーナーなど、翌日まで残さないようにしましょう。

乾燥を心がける

コバエを中心としたいわゆる衛生害虫は、全般的に乾燥に弱い傾向があります。
掃除をしましょうとしつこく繰り返してきましたが、究極論を申し上げますと、一切掃除をしなくても常時乾燥状態を保つことができるなら、コバエは湧きません。
たとえば生肉にたかるノミバエをご紹介しましたが、水分含有率の低いカチカチのジャーキーには目もくれません。
ですが、皆さまが人として清潔で文化的な生活を送る上では、生活空間の湿度が上がることは避けようがありません。
お風呂に入らない、歯を磨かない、トイレはすべて外で、洗い物は出さない、生ゴミは即焼却する、困難かつ不便極まりないと思います。
このような究極的な対策は心からお勧めしませんが、少しでもそこに近づけるための日常習慣を身につけることは難しくないでしょう。
シンクに残る水分をできるだけ拭き取ったり、お風呂場のマットや洗面器は使用後にフックで吊るなど、ちょっとした意識と習慣が防除対策の大きな第一歩です。